【バックナンバーREVIEW No.0025】『激動する巨人阪神戦』【1958年10月1日号】
2018年に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。すでに通算3700号を超えており、そのバックナンバーを『週刊ベースボールデジ放題』でデジタルアーカイブ化していく。ここでは、思い出の号を紹介していく。
※週刊ベースボールONLINE 2017年11月21日初出(一部修正)
■連載『私の意見』に巨人の正力松太郎オーナーが登場
今回は『1958年10月1日号』。創刊第25号で定価30円。中カラー見開きは『哲ちゃんの休日』と題し、愛娘と一緒にバラの植木に水をやる巨人・川上哲治だ。
この号の巻頭グラビアは『1000勝をめざす監督』と題し、その南海・山本一人監督が登場している。西鉄とのV争いは熾烈を極めているようだ。
本文巻頭は『激動する巨人・阪神戦~みんなが熱狂するその舞台裏では』。セの天王山とも言われた9月6日から12日までの巨人-阪神5連戦に密着している(甲子園3試合、後楽園2試合)。最後の1試合が雨で中止となったが、4戦はすべて激闘となった。うち甲子園での7日の試合では、巨人・水原円裕監督が審判に抗議中、暴漢が乱入し、水原監督を殴る騒動があり、その模様はセンターグラビアでも詳しく紹介している。
連載『私の意見』には巨人のオーナー、正力松太郎が登場。プロ野球の父とも言われた人物で、今日のプロ野球の隆盛についての感想などが書かれているが、その中で巨人が計画を進めていた「屋根つき球場」についても触れている。それによれば「雨を心配して野球を見るようでは駄目だ。映画を見るように映画を楽しむように野球を楽しんでもらいたいのだ」とあり、最大の理由に「テレビ攻勢打開」とある。
読売グループには日本テレビがあり、どこまで本音かは分からないが、当時、「テレビが普及すると、誰も野球場にわざわざ足を運ばなくなる」という声もあったのは事実だ。
恒例の対談は南海の大物新人・杉浦忠と大毎で打点王を狙う葛城隆雄だ。
アンダースロー・杉浦の投球パターンに触れた個所もあったので抜粋してみよう。
葛城 僕が狙うのはインコースから入ってくるカーブ、それからこっちの近めのシュート。アウトコーナーの球は最初から捨てている。あそこに来たらヒット出ないんだ。あと高めにぐっと伸びてくるでしょう。あれはやっぱり手を出すねえ。
あととにかく速いですね。シュートかけるときもある。ストンとくるの。
杉浦 自然に落ちるんだよ(笑)。スライダーは最近だ。
ストンとくる、というから落ちるのかと思ったが、その後、ふたたび杉浦のシュートの話になり、
杉浦 シュートというのが、ぐっと浮く球ね。
葛城 あれはほんとおかしいですよ。ぐっとくるから。
という個所もある。低めは沈み、高めは浮くということだろう。まさに魔球である。
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