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【バックナンバーREVIEW No.0017】『1958年オール・スター特集号』【1958年8月6日号】

【バックナンバーREVIEW No.0017】『1958年オール・スター特集号』【1958年8月6日号】

2021.8.27

2018年に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。すでに通算3700号を超えており、そのバックナンバーを『週刊ベースボールデジ放題』でデジタルアーカイブ化していく。ここでは、思い出の号を紹介する。


※週刊ベースボールONLINE 2017年11月13日初出(一部修正)


■『特別レポート 球界に飛ぶデマを洗う』

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 今回は『1958年8月6日号』。創刊第17号で定価30円。前回あったセンターグラビア真ん中のカラー見開きページはない。予告なく始まり、予告もなく終わった。


 巻頭グラビアは『巨人軍の名誉をかけて』のタイトルで巨人・水原円裕監督。「優勝せねば監督を辞任する」と公言してのシーズンだったが、好調に首位を走っている。


 本文巻頭特集は『今年も1勝1敗か~1958年オール・スターの横顔』として、間近に迫った球宴を展望。平和台球場と広島市民球場での開催とあって、表紙は西鉄の強打者・中西太、広島のエース・長谷川良平が飾っている。


 注目として挙げられているのは、セの水原監督、パの三原脩監督(西鉄)の3度目の対戦、巨人・長嶋茂雄、南海・杉浦忠の立大同期の新人対決、国鉄の大投手・金田正一と西鉄の中西の対決、最後となるかもしれない巨人・川上哲治の勇姿などだった。両リーグの力は接近し、1勝1敗になる可能性が高いという結論になっている。


 ちなみに当時の入場料は、平和台が指定800円、内野指定700円、内野500円、子供250円、外野300円、子供150円、広島が指定A800円、B700円、内野指定600円、内野500円、子供250円、外野300円、子供150円で「だいぶ高額になっている」らしい。


 全体の入場者収入は平和台が1200万円、広島が800万円を見込まれ、50パーセントが選手養老年金、25パーセントがコミッショナー基金、12.5パーセントずつが両リーグの費用となる。


 『長嶋茂雄とホームラン~ゴールデン・ボーイは何本打つか』では7月16日現在でホームラン16本となった長嶋のバッティングについて分析。複数の解説者の予想では、ホームラン数について25本から35本の間で意見が分かれていた。


 いかにも“週刊誌”という記事もあった。『特別レポート 球界に飛ぶデマを洗う』では「巨人・藤田元司投手の引退説」「若林忠志の大毎監督復帰」「長嶋と司葉子(女優)の婚約」「西鉄・南海のセ・リーグ入り」などが扱われ、特に西鉄、南海のセ入りは、10球団1リーグ制への移行説も含めた陰謀的な話。どれもきな臭いが、いずれも最後はボカしたり、否定で終わっている。


 恒例の座談会は『外人部隊の野球メモ』。いずれもハワイ球界から日本球界入りした巨人のウォーリー・与那嶺、エンディ・宮本、東映のビル・西田、スタンレー・橋本、ジャック・ラドラが顔をそろえた。日本の野球生活で困ることを聞かれ、ラドラは蒸気機関車での移動を挙げ、「窓開けた場合、後ろの人が困る言うね。なぜか言うたら、みんなすすが入るから言うて、窓を閉めてね。扇風機だけでしょ」と答えていた。蒸気機関車のエントツからのもくもくと出るすすは、傍目には豪快だが、乗客には大迷惑。特にトンネルを通過する際、すべて客室に入ってきたという。なお、このコーナーには夫人もすべて顔写真で登場。時代を感じさせる。


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