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【バックナンバーREVIEW No.0011】『覇権につながる五人の勝負師』【1958年6月25日号】

【バックナンバーREVIEW No.0011】『覇権につながる五人の勝負師』【1958年6月25日号】

2021.8.25

2018年に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。すでに通算3700号を超えており、そのバックナンバーを『週刊ベースボールデジ放題』でデジタルアーカイブ化していく。ここでは、思い出の号を紹介していく。


※週刊ベースボールONLINE 2017年11月7日初出(一部修正)


■スポットライト『長嶋茂雄の生活と意見』

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 今回は『1958年6月25日号』。創刊第11号で定価30円。カラーページはない。


 巻頭グラビアは6月4日の阪神戦で投打に活躍し勝利投手となった巨人・別所毅彦。スタルヒン(巨人ほか)に続く通算300勝にあと11まで迫っている大投手だ。


 巻頭特集は『覇権につながる五人の勝負師~プロ野球版「男は一回勝負する」』だ。これは当時上映されていた映画『女は一回勝負する』からつけたタイトルらしい。


 この5人は「優勝ラインへの四十勝・金田」(国鉄・金田正一)、「三連覇を賭けた右腕・稲尾」(西鉄・稲尾和久)、「優勝を賭ける監督・水原」(巨人・水原円裕)、「成長した“現代の猛牛”・野村」(南海・野村克也)、「首位打者への情熱・田宮」(阪神・田宮謙次郎)である。


 このうち、現在『週べ』で連載を寄稿していただいている、われらがノムさん(注・初出当時)、野村は前年の57年に初の規定打席に到達し、ホームラン王となったが、この年は負傷で出遅れ、なかなか調子が上がらなかったようだ。文中に「ずっと合宿生活を続けてきた野村が、大阪の某夕刊紙に“求下宿”の広告を出した」とあるが、当時はこんなことも珍しくなかったのだろうか。


 スポットライトとして『長嶋茂雄の生活と意見』という記事もある。タイトルどおり若きヒーローの私生活を追ったもので、一番好きなのは肉、「それも血のしたたるような肉」と言いながら、焼き方の好みは、「ほんのちょっと硬めに焼いてもらうこと」という。表面を強火ということだろうか。睡眠時間は1日10時間から11時間。息抜きは映画、それも西部劇、喜劇類などリラックスできるものらしい。


 最後に「花嫁は誰か」という記事もあり、好みの女性について語っているので抜粋しておく。


 「特に注文をつければ、絶対に女らしい人。いわゆるドライ娘というタイプは性に合いません。それから、何を話しても、どっちでもよいという人はいやですね。シンの強い人が好きです」


 ドライ娘が流行語だったのかどうかは確認できなかった。


 また『動き出したスカウト陣』では来季入団の注目選手の動向を追っている。最大の目玉である早実の王貞治は阪神、巨人、大毎の3球団が積極的で、この時点では阪神が有利だったようだが、巨人が突然動きを見せなくなった、ともある。水面下の駆け引きも興味深い。


 センターグラビアでは、5月31日の西鉄戦(駒沢)で1試合16奪三振をマークした東映・土橋正幸を特集。本文の別ページにも、軟式出身から頭角を現したストーリーが紹介されている。土橋はヌード劇場でもあった「フランス座」のチームで大会に出ているが、単に家の近くにあって、チーム関係者に誘われただけ。フランス座とは直接の関係はない。


 のちになるが、「俺がフランス座にいたと勘違いしてるやつらがいた」と怒っている記事もあった。


 小コーナー連載『選手の秘密』では、阪神の二軍捕手・滝道章が紹介されている。敬虔なクリスチャンで、いつも銀の鎖にマリア像のメダルをつけたものを首からかけていたという。投手が制球を崩すと讃美歌を口ずさんだ、ともあったが、これはやや眉唾か。残念ながら以後も一軍出場はなかったようだ。


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